イチゴちゃん

年末のある日、新聞折込のチラシに『猫を探しています』のタイトルで

写真付き、連絡先付の広告があった。

2カ月ほど前から、うちの猫たちに混じって餌を食べに来る、

白とグレーの混じった大柄な猫によく似ている。

食事が終われば、ベランダの下にもぐり、ときどき顔を出し、こちらをうかがっている。

おっとりとして、近づきすぎれば避け、わずかに逃げはするが人に慣れている。

写真によく似ているようだ。

そこで、電話した。

早速、40代の女性Tさんがやって来た。ベランダに来てもらい名前を呼んでもらった。

「イチゴちゃん~~~~」、「この子です、写真の子です」

ほう、イチゴという名だったのか。

イチゴちゃんは近くまで来た。Tさんが手を伸ばして触れようとした瞬間さっと身を翻して逃げた。

それっきりどこに行ったか分からない。今にも泣きそうな顔のTさん。

子猫から育てて3年、家の中で飼い、布団に一緒に寝るような猫ちゃんだったという。

それから、毎日なんどもTさんの来宅が続いた。

イチゴちゃんは顔はあわせても決して近づかないのだ。

隠れているのに名前を呼んでも顔を出さないこともある。

ある時には、一緒に飼っている別の猫を連れて。

ある時は、一番なついていたという中学生の次男さん、

ある日は、半日近く、うちの周りのパトロール、

最後は、獣医さんから借りてきた檻、中にお気に入りのちくわをつるし

触れた瞬間蓋が落ちる仕組みの最終兵器だった。

これで失敗すれば、もう2度と戻らない。

幸いに3日目に、檻の中に・・・・。

私が、イチゴ~~と呼ぶと「なう」と返事する。

連絡すると、家族全員が車でやってきて、涙のご対面、そして無事ご帰還とあいなった。

イチゴ君は、自由を満喫したと思う、世界の広さを知ってしまった、

寒い日が続き温かな布団はなくなったが、気の置けない仲間たちに出会った。

本来の猫族の野生が目覚めた。

イチゴ君はこれから幸せだろうか。暖衣飽食、気だるい毎日。温かいが狭い家屋の中。

きまぐれな人間に抱っこされる代償だ。

それにしても、Tさん宅と家は直線距離でも3kmは離れている。どうしてやってきたのだろう。

ともあれ、イチゴちゃんとご家族の幸せを祈る。



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ロックエヴァ

Author:ロックエヴァ
療術家  

大黒屋誠二郎師を師匠として、伝授された画像や技法などを使って日々、療法に取り組んでいる。
画像、シール,保健水などの活用を中心に、心、意識、身体などについて研究を深めていく事を目的とした「まいど会」の会員。

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