待つ

21歳の女性Mさんは、中の下程度の知的障害があり、お母さんと暮らしている。

先日、Mさんは「おかあさん、つかれたでしょ、お茶碗を洗ってあげるね」といって

キッチンの流しに立った。

夕食後のことで、自分で10枚ほどの皿や茶碗、お鍋やフライパンなどを流しに運び、

さっそく洗い物がはじまった。

お母さんは、すこしはなれたテーブルの側にすわり、

それとなく娘の洗いぶりを眺めていた。

見ていられないような無器用な手で、しかし、実に丁寧に洗っているようだ。

水道の蛇口は左に一杯に回してある。水が流しを叩く音が、ど、ど、どと響く。

跳ねた水が流し付近に飛び散る。

洗剤は新しく買っていおいたものを惜しげもなくどんどん使ってしまった。

泡で流しが浮き上がるように見えた。

お母さんは、よほど、娘の側に走りよって、手を添えたり、教えてやったりしたかった。

実際に何度か立ち上がりかけたが、その都度じっと自らを抑えた。

娘はひたすらに手を動かし洗い、ときに歌を歌うようにハミングする。

かちゃかちゃと茶碗が触れ合う音がことさら大きく聞こえる。

大量の水と、洗剤1本まるごと、そしておよそ40分ほどの時間がおわった。

とても丁寧に洗ってあった。

「お母さん、洗ったよ」と嬉しそうな笑顔のMさん。水でびしょびしょの服だった。

「ありがとう。Mちゃん・・・・・」

Mさんにとって今日が初めてのお手伝いの日だったのだ。

見守る、待つ、お母さんもよくがんばった。よかったね。

普通の人が聞いたら何の変哲もないお話にすぎません。

でも、我々には宝なのです。

小さなグループでしたが大きな拍手が沸きました。



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プロフィール

ロックエヴァ

Author:ロックエヴァ
療術家  

大黒屋誠二郎師を師匠として、伝授された画像や技法などを使って日々、療法に取り組んでいる。
画像、シール,保健水などの活用を中心に、心、意識、身体などについて研究を深めていく事を目的とした「まいど会」の会員。

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