ブルートレイン

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「あ、待って、待って、やばい、・・・・」と大声をかけたのはFさんだった。

駅弁の包み紙を無造作にまるめて捨てようとしていた私に向けた言葉だった。

その紙には、「ありがとうブルートレイン ファイナル企画 特製弁当」とあり、

そばに「桜マーク」が麗々しく印刷してある紙に過ぎないのだが・・・。

「え?」と私。Fさんによれば1500円でも欲しがる人がいるくらい価値があるとのこと、

マニアの世界は面白い。ただの紙がお金に化けるのだ。

実は、長崎~東京を結ぶ往年のブルートレイン特急「さくら」号の最後の臨時列車に

乗ったのである。はがきで申し込みの抽選に当たり、運良く乗車できたのだ。

4人がけのハコには、いずれ劣らぬ鉄道マニアばかり、初めは互いに無口だったが

これをきっかけに話しが弾みだした。Fさんは福井県から来た人だった。

重い大型のカメラ、バズーカ砲のような交換レンズ群、ビデオカメラ、脚立、

ごつくて頑丈そうな三脚、それと購入した鉄道グッズ、たとえばサボという

行き先表示板はじめ、鉄道ランプ、灰皿など数々の品。話では毎週全国を周ってるとのこと、

前日は撮影の場所取りに午前3時から当日の14時列車通過まで待っていたとのことだった。

おかげで結婚をあきらめました、と頭をかいていた。

猛烈なマニアックなエネルギーに圧倒された。

Sさんは大きなキャリーバッグにはちきれんばかりの荷物を入れ、

手提げバッグには数々の鉄道グッズの山、聞けば高知県から来たとのこと、

この方も大型カメラ、三脚、を持っていた。明日も夜行で鹿児島まで行き、宮崎周りで帰る、すごい。

名古屋のTさんは乗り鉄専門でゆったりと旅を楽しむとのことで60代の方だった。

3人の極めてマニアックな話には相槌さえ打てない私だった。

私といえば簡単なショルダーバッグにシンプルなデジカメのみ。

こういう中では肩身が狭い。しかしブルートレインだけは大好きだし、鉄道史には

大いに関心がある。さらにNゲージの鉄道模型にはかなり詳しい。

中学時代からHOゲージの客車などをたくさん作っては悦に入っていたのである。

この方たちと話しをするうちに純粋に好きでたまらない、本当に身を入れ込むような

姿にいつしか深い共有感、連帯感を感じていた。こと鉄道に関しては修道士のような

真摯な生き方だ。

解散の時刻が迫ったとき、4人の心は一つになっていた。

なお、われわれが乗ったブルートレインは整備後東南アジアに行くそうである。

本当に最後になったブルートレインさくら号、さようなら。




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プロフィール

ロックエヴァ

Author:ロックエヴァ
療術家  

大黒屋誠二郎師を師匠として、伝授された画像や技法などを使って日々、療法に取り組んでいる。
画像、シール,保健水などの活用を中心に、心、意識、身体などについて研究を深めていく事を目的とした「まいど会」の会員。

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