5月の夜の影踏みのこと

今夜は満月に近い。

五月のこのころの夜風は肌にしみ込むような優しさがある。

子供たちは庭に出て空を見上げる。

夜空には、煌々と輝くまん丸の月がのぼっている。

午後9時前後では月は天頂よりも低いので月影が長い。

庭には、7,8人の子供たちが集まっており、

代わりばんこに鬼を決めて鬼ごっこをするのだが、

つかまえるかわりにその子の月の影を踏むのである。

ある子は、家や大木の影に逃げ込んで難を逃れる。

ある子は、庭の池に影が落ちるようにして立つ。

ある子は、背の高い子の影について回る。

そしてスカートを引っ張ったりしておねえちゃんを困らせる。

やがて、鬼が全員の影を踏んだらお仕舞いとなる。

月夜の晩に田舎の広い庭で繰りひろがれる子供の遊び。

歓声や笑い声、叫び声、ふざけあう甲高い声、

この夜だけは親は何とも言わない。

この時期は蛍も舞う。

影ふみを終わった子供たちは今度は蛍と戯れる。

川に落っこちる子も時々いるが滅多に怪我はしない。

手の中の蛍の独特の匂いをかいで家路に向かう。

不思議と外灯や家からもれ出る光の記憶がない。

かなり以前の話である。



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

重要関連リンク
QRコード
QR
カテゴリ
プロフィール

ロックエヴァ

Author:ロックエヴァ
療術家  

大黒屋誠二郎師を師匠として、伝授された画像や技法などを使って日々、療法に取り組んでいる。
画像、シール,保健水などの活用を中心に、心、意識、身体などについて研究を深めていく事を目的とした「まいど会」の会員。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる