野生

猫のたまぞう君は家の猫ではない。

野良猫である。うちに姿を見せるようになったのは去年の夏ころだったと思う。

やせて毛並みが荒れて明らかに栄養不良の様子が見られたので、

以前飼っていた猫用の餌の残っていたものを与えたのがきっかけで、訪問猫となったのである。

近くによっても30cm以内には絶対入らない、もちろん、抱っこしたり撫でることは出来ない。

無理に近づけば、すっと逃げる。

「たまぞう君」、と呼びかければ「ぬぁ」と微かにこたえるが、何回も呼びかけるとそっぽを向く。

付かず離れずのいい関係なのである。

たまぞう君がどこに住んでいるのか分からない、後をつけたがいつも見失ってしまう。

多分農家の納屋か床下にねぐらがあるのだろう。

あるいはどこかの家で、別の名で呼ばれているのかもしれない。

謎の多い訪問者なのだ。

先日深夜、外に出てみると、たまぞう君が何かを抑えこんでいた。

家の窓から漏れる光に浮かんだのは、捕まえたネズミの頭をバリバリと噛み砕き咀嚼している姿だった。

口周りを血で真っ赤に染めて、その姿は野生の猫族の本能そのものであった。

たまぞう君と呼びかけても返事はない、

ひたすらバリバリと噛み千切り呑み込む誇り高き野良の猫であった。

おみやげをもってきてくれたたまぞう君とは違う野性に返った姿であった。

多分、明日はうちに来ないだろう、栄養たっぷりの食事をしたのだからね。



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プロフィール

ロックエヴァ

Author:ロックエヴァ
療術家  

大黒屋誠二郎師を師匠として、伝授された画像や技法などを使って日々、療法に取り組んでいる。
画像、シール,保健水などの活用を中心に、心、意識、身体などについて研究を深めていく事を目的とした「まいど会」の会員。

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